石綿吸引により肺がんに罹患し、死亡した被害者の遺族に対し、国が合計1656万5376円支払うという条件で東京高等裁判所において和解が成立

1 概要

2010年11月12日、亡H・I(左官工、2004年1月6日、石綿を吸引したことによる肺がんで死亡)の妻Aとその子供2人(B、C)が、静岡地方裁判所に、国を被告として、建設アスベスト国賠訴訟を提起しました。

2 判決内容

2020年1月23日、静岡地方裁判所が、被告国が原告Aに対し412万5000円、原告B、Cに対し各206万2500円、これに対する2010年11月30日(訴状が被告国に送達された日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うように命じた判決をしました。

3 和解内容 

 原告らと被告が双方控訴し、この訴訟は東京高等裁判所第5民事部に係属しました。2021年7月26日に訴訟上の和解が成立しましたが、和解の内容は次のとおりです。

(1) 和解金額 

国は、Aに対し828万2688円、Bに対し414万1344円、Cに対し414万1344円、合計1656円5376円を支払う。

(2) 内訳

内訳は、損害賠償金合計825万円(1審で認められた金額)と2004年1月6日(H・Iが肺がんで死亡した日、原告らは控訴審で遅延損害金の起算日を、訴状送達の日の2010年11月30日から死亡日である2004年1月6日に変更しました。)から2021年9月30日までの遅延損害金731万5376円と、訴訟費用の内金100万円を上乗せした1656万5376円。

(3) 和解成立

国は、この金額の内、Aに対し2分の1の828万2688円、その他の子供2人に対し4分の1のそれぞれ414万1344円を支払うことで和解が成立しました。

4 弁護士にご相談ください。 

この訴訟は、当事務所の弁護士が加わる静岡アスベスト被害救済弁護団(団長弁護士 大橋昭夫)が、10年以上にわたって担当した建設アスベスト国賠訴訟ですが、今後は、石綿被害給付金支給法が成立したため、この法律により、国に対し給付金を請求し、被害を回復することになります。当事務所で給付金の請求業務を取り扱っていますので、お気軽にお電話下さい。