泉南工場型の石綿被害で訴訟上の和解(2023年2月16日解決)

Aさんは、石綿管を製造しているB社において、昭和42年11月から平成21年11月まで働いた。

 Aさんは、工場内で石綿管の継手用素材を旋盤で切断加工する作業に従事し、身体内に石綿を吸引し、令和3年1月、胸膜中皮腫と診断され、令和3年5月に死亡したものである。

 Aさんは、B社退職後、普通に生活していたところ、令和3年1月、突然健康を害し、まもなくして死亡したものである。

 Aさんの遺族は、当事務所に相談し、令和4年6月17日、国を被告として、1430万円を求めて損害賠償の訴を提起した。

 Aさんの仕事内容について、B社も調査に協力してくれ、国がAさんの遺族に対し、1430万円と遅延損害金を支払うとのことで、短期間に訴訟上の和解が成立したものである。

 中皮腫は、Aさんのように、石綿吸引以来54年も経過して発症することもある恐ろしい病気であるので、石綿粉じんを吸引していたと思われる方は油断することなく、定期的な健康診断を受ける必要がある。

 中皮腫は、早ければ、石綿を身体に吸引した後10年間で発症することもあるが、通常は20年から30年後であり、40年後や、本件の場合のように50年後に発症する場合もある。