泉南工場型の石綿被害で労働者性を有する取締役が訴訟上の和解(2023年2月16日解決)

石綿管を製造しているA社で、昭和45年3月から就労したBさんは、平成26年4月、胸膜中皮腫に罹患し、平成27年3月に死亡した。

 Bさんは、A社の取締役をしていたこともあるため、労災認定を受けたが、国に対する損害賠償請求はせず、5年以上が経過した。

 しかしながら、Bさんの遺族が当事務所に相談し、泉南工場型の国家賠償請求が可能であることを知らされ、令和4年2月に静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。

 Bさんは大学卒であり、入社後1年間は現場作業に従事したが、その後は研究室に勤務していたため、訴訟の提起が遅れたものである。

 会社の取締役であっても、過去に労働者性がある場合には、国賠請求もできるので、そのような経歴を有する方は、早急に訴訟を起こす必要がある。

 本件では、国がBさんの遺族に対し、1430万円及び胸膜中皮腫発症の時から年5分の割合による遅延損害金を支払うということで訴訟上の和解が成立した。