被害者Aは、1969年11月10日、大手の運送会社であるF通運袋井支店にトラック運転手として入社し、袋井市内の、石綿建材や石綿含有の鉄パイプの保温材の大手の製造会社であるB社袋井工場に出入りし、それを2トントラック、4トントラックに積み込んでいた。
B社の工場内には、石綿の粉じんが飛散しており、Aは防じんマスク等も全く着用していなかったため、そのまま石綿粉じんを身体内に吸引していた。
Aは、B社袋井工場に行き、石綿製品をF通運の長距離用のトラックに積み込んでいた。
このような仕事をAは毎日、何回もやっていた。
Aはその後、定年を迎え、仕事に就かなかったが、2011年に入ってから、痰や咳、息切れがひどくなり、主治医から、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、続発性気管支炎と診断された。
Aはその後も治療を続けてきたが、回復せず、2020年2月に死亡したものである。
Aの遺族は、労働基準監督署に遺族補償年金の支給申請をし、支給決定がなされ、当事務所に依頼があり、当事務所は2024年4月9日、静岡地方裁判所に国を被告として、泉南工場型の損害賠償請求の訴を提起し、2024年12月10日、訴訟上の和解に至ったものである。
本件のように、石綿工場に出入りしていたAのような労働者でも、泉南工場型の損害賠償請求ができ、直接、石綿工場で働いていなくても救済されるので、このような被災者やご遺族の方々は、一度当事務所にお気軽にご相談いただきたい。
なお、Aの遺族は、石綿製品製造会社であるB社に対しても、今後、慰謝料2600万円の2分の1の1300万円の請求をする予定である。