依頼者A(74才の男性)は、地元の高校を卒業し、昭和44年3月、石綿パイプを製造しているF社に入社し、石綿パイプの製造に従事した。
AはF社を定年退職したが、B医院で令和4年6月頃、胸膜に胸水がたまっていることが発見され、令和4年11月、C病院で細胞診の検査の結果、胸膜中皮腫と診断された。
Aは、当事務所に相談し、富士労働基準監督署に休業補償の申請をしたところ、同署長は、令和6年5月20日付で支給決定をした。
Aは、国を被告として、静岡地方裁判所に、令和6年3月12日に損害賠償の訴を提起したが、国は令和6年5月20日に上記支給決定がなされたことにより、Aの罹患した胸膜中皮腫が、F社での石綿管の製造に起因するものとして認め、国がF社に対し、局所排気装置の設置を義務付けなかったことが不法行為にあたるとして、1265万円の慰謝料を支払うことで、令和6年10月1日、静岡地方裁判所において、訴訟上の和解が成立した。
中皮腫は、Aの場合のように、退職後、かなりの時間が経過して、突然発症する場合が多く、石綿作業に従事した元石綿工場の労働者で、身体に異変が生じた場合、すぐに当事務所に相談いただければ、治療先も教示することができるので、是非とも相談していただきたい。
中皮腫と宣告されると、今後の人生について悲観してしまう方々が多いが、早く専門の医師に相談すれば、抜本的な治療方法が見付かっていない現状でも、延命は可能になっているので、早期に当事務所に相談して欲しい。
当事務所は皆様方に微力ながら、少しでも多くの勇気を与えたいと思っている。
なお、本件では、元勤務先のF社も協力的で、既に損害賠償にも応じ、解決している。