亡Aさんは、農業をしていたところ、子供達が進学年齢に達したため、スレート製造メーカーであるB社のC出張所に、工務員として、昭和43年に入社し、以後26年間働き、退社した。
退社して10年頃から、息切れがひどくなり、その後、静岡労働局長から、じん肺管理区分4と認定され、今から9年前に石綿肺で死亡したものである。
亡Aさんのご遺族は、厚生労働省から通知が来たため、当事務所に相談し、当事務所はC出張所の作業小屋でもB社の製造した石綿建材を切断したことがあることを、亡Aさんの子供から聞き、当初、泉南工場型で提訴した。
しかしながら、B社は、建材メーカーとして、全国の建設作業従事者から損害賠償の訴をされている身でもあったので、本訴訟に協力せず、亡Aの仕事はほとんど外部の工事現場で行ったものだとし、作業小屋内ではごくわずかな切断をしたのみであると述べ続けていたので、国は泉南工場型として和解することに消極的であった。
しかしながら、本訴訟の係属中に、建設作業従事者に対する国の責任を認める最高裁判決が出たため、亡Aさんは、この訴訟が対象とした期間も働いていたため、最後には建設作業従事者型で国と和解することになったものである。
国は、亡Aさんの相続人に対し、合計1300万円の慰謝料と130万円の弁護士費用を支払うことにし、1430万円で訴訟上の和解が成立したものである。
亡Aさんの相続人は、今後、勤務先のB社に対しても、安全配慮義務違反を原因として慰謝料請求の訴を提起する予定である。
石綿肺で死亡した労働者の遺族に対し、国が1430万円を支払うことで訴訟上の和解