腹膜中皮腫に罹患し死亡した造船労働者のご遺族と国との間で訴訟上の和解

船大工であったAさん(昭和16年11月28日生、令和5年1月12日死亡)は、中学校を卒業すると同時に、伊豆半島西海岸の木造船を製作する会社で船大工として修業し、勤務先の会社が旧清水市で日本鋼管(当時の会社名)や三保造船の下請けとして、貨物船、遠洋まぐろ漁船の造船の仕事をするようになったので、旧清水市に移住し、船室や魚倉に入り、アスベストの吹き付けられた鉄の部分からアスベストをはがし、金具を探し、木材と金具をボルトで締め付け、その上にアスベストが貼られたべニア板を貼る作業をしていた。
 その際、アスベストの粉じんが周囲に飛散し、Aさんはその粉じんを身体内に吸引していた。
 Aさんは、これらの仕事を、昭和38年11月から昭和41年8月までの33か月間続け、昭和41年8月離職し、旧清水市内のカメラ店に勤務し、店員としてカメラを販売したり、写真の現像の仕事をし、その後は写真店を開業しながら、損害保険会社の代理店をしていた。
 このように、Aさんはアスベストの仕事からは長期間離れていたが、令和3年4月、身体に変調を感じ、病院で腹膜中皮腫と診断され、抗がん剤治療を受けていたが、令和5年1月12日に死亡したものである。
 Aさんは労災認定を受け、令和3年11月に泉南工場型の被害者として、国を被告として、静岡地方裁判所に慰謝料請求の訴を提起していたが、国はAさんを造船労働者として取り扱い、船は石綿工場ではないので泉南工場型の請求には応じないとの態度を取り続けたため、長期間訴訟上の和解ができなかったものである。
 当事務所は、Aさんが、船に取り付ける前のべニア板を会社の工場内で木取りをし、その際にもアスベストの粉じんを身体に吸引していたことを、会社の上司であった90才を超える男性から聞き出し、この工場内でのアスベストの吸引があるから泉南工場型にもあたり、救済されるべきだとの主張を追加した。
 Aさんは結果を見ない内に死亡したが、妻と子供が訴訟を承継し、泉南工場型にあたるとの主張と、それを裏付ける工場の跡地等の写真を提出した結果、やっとのことで令和6年9月4日、訴訟上の和解が成立したものである。

 このように、粘り強い主張と事実調査を尽くしていれば和解も可能であるので、静岡県内に居住している造船労働者やそのご遺族は、あきらめずに当事務所にご相談下さい。
 勿論、現在、大阪や札幌の裁判所で、造船労働者による集団訴訟が係属中であるので、造船労働者の造船におけるアスベスト被害でも、時間はかかりますが解決できる可能性もありますので、Aさんのように工場で木取りをしていない方も、当事務所にご相談下さい。
 いずれにしても、本件ではAさんのご遺族が慰謝料として合計1430万円を受領することができ、無事解決しました。

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