対象者・救済の種類

1 労災保険による補償

被災労働者や労災保険に特別加入していた一人親方等の事業主で、業務上、アスベストにばく露され、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚のアスベスト関連疾患に罹患し、療養し、休業し、不幸にして死亡した場合、労災保険の対象となり、労災保険で次の給付を受けることができます。

 (1) 療養補償給付

石綿疾患に罹患し、病院で治療を受けたとき、治療費の全額が支給されます。

 (2) 休業補償給付

石綿疾患に罹患し、休業したとき、4日目から休業1日につき給付基礎日額の60%が支給されます。
あわせて、社会復帰促進等の福祉事業として、給付基礎日額の20%が休業特別支給金として支給されます。
なお、この20%分については、損益相殺の対象とはなっていませんので会社に対して損害賠償請求する場合、差し引く必要はありません。
裁判所における損害賠償請求の訴の場合にも、裁判所はこの20%分を損害額から差し引いていません。

 (3) 遺族補償給付

被災労働者が石綿疾患に罹患し、不幸にも死亡した場合、そのご遺族に遺族補償給付がなされます。
遺族補償の受給資格者は被災労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で、被災労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していた者ですが、支給される順位が決まっています。
被災労働者の死亡当時、遺族補償年金を受給する要件を満たさないときは、給付基礎日額の1000日分が遺族補償一時金として受給権者に支給されます。

 (4) 葬祭料

葬祭を行った者に対して葬祭料が支給され、その額は、次のうち、いずれか高い方の額となります。
① 31万5000円+給付基礎日額の30日分
② 給付基礎日額の60日分

2 石綿健康被害救済法による給付

石綿関連疾患に罹患した方とそのご遺族で労災保険の対象とならない場合、独立行政法人環境再生保全機構が石綿健康被害救済法に基づく救済をしています。
医療費、療養手当、葬祭料、特別遺族弔慰金、特別葬祭料、救済給付調整金が支給されます。

3 泉南工場型の国との和解手続による救済

2014年10月9日、大阪泉南アスベスト国賠訴訟の最高裁判所の判決がなされ、アスベスト被災者に対する損害賠償請求が認められ、この判決で損害が認められた被災者と同様の作業を行っていた石綿工場の元労働者やそのご遺族についても、国は訴訟上の和解により、損害賠償金を支払う旨表明しました。
静岡県の場合は、被災労働者やそのご遺族が静岡地方裁判所に国を被告として損害賠償請求の訴を提起することが必要になり、国はこの訴訟の和解手続の中で和解をし、それによって損害賠償金を支払うというものです。
この制度を利用して、今までに当事務所は多くのアスベスト被災労働者とそのご遺族の救済に従事してきましたが、和解の要件は次のとおりとなっています。


(1) 昭和33年(1958年)5月26日から昭和46年(1971年)4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、労働者として石綿粉じんにばく露する作業に従事していたこと。
(2) 石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚など)に罹患したこと。
(3) 提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること。

そして、次の場合でも対象となりますので、当事務所にご相談下さい。

(1) 労災保険や石綿救済法による補償を受けている方も対象となります。補償を打ち切られたり減額されたりすることはありません。
(2) 労働者として働いた期間が上記(1)の一部の期間であっても対象となります。
(3) 被害者が既に死亡している場合は、遺族の方が請求できます。
(4) 雇用されていた会社(事業場)が既に廃業・倒産していても構いません。
(5) 石綿工場で石綿取扱い作業に従事していた従業員だけでなく、石綿工場の作業場に継続的に立ち入り相当時間作業していた運送会社の従業員なども対象となります。
(6) 断熱材や保温材として石綿が使用された様々な工場(例えば、化学繊維工場や自動車整備工場、電車車両製造・修理工場など)で働いていた方が、救済対象となる可能性もあります。

又、和解により支払われる損害賠償金(慰謝料)は次のとおりとなっており、これに10%の弁護士費用が加算されます。

(1) じん肺管理区分の管理2で合併症がない場合      550万円
(2) 管理2で合併症がある場合              700万円
(3) 管理3で合併症がない場合              800万円
(4) 管理3で合併症がある場合              950万円
(5) 管理4、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚の場合  1150万円
(6) 石綿肺(管理2・3で合併症なし)による死亡の場合 1200万円
(7) 石綿肺(管理2・3で合併症あり又は管理4)、肺がん
   中皮腫、びまん性胸膜肥厚による死亡の場合     1300万円

4 建設アスベスト型の国に対する給付金申請による救済

建設現場で働き、石綿関連疾患に罹患した被災労働者やそのご遺族に対しましては、建設アスベスト訴訟の令和3年6月9日付最高裁判決の確定により、国は「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」を制定し、給付金の支給をしています。
受給要件は次のとおりとなっています。


(1) 昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間に、一定の屋内作業場で建設業務に従事していた労働者や、一人親方・解体工・中小事業主(家族従事者等を含む)
   吹付作業の場合は昭和47年10月1日から昭和50年9月30日まで
(2) その結果、石綿肺、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水といった石綿関連疾病を発症した方
(3) 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日又は石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日(石綿関連疾病により死亡したときは、死亡日)から20年以内に請求すること
国からの給付金(慰謝料)は次のとおりとなっています。
 (1) 石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のない者      550万円
 (2) 石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のある者      700万円
 (3) 石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のない者      800万円
 (4) 石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のある者      950万円
 (5) 中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うび
    まん性胸膜肥厚、石綿肺管理4、良性石綿胸水
    である者                      1150万円
 (6) 上記(1)及び(3)により死亡した者           1200万円
 (7) 上記(2)、(4)及び(5)により死亡した者        1300万円
国の責任が認められる主な建設作業従事者の職種は次のとおりです。
大工、内装工、電工、吹付工、左官工、塗装工、タイル工、配管工、ダクト工、空調整備工、鉄骨工、溶接工、ブロック工、保温工、鳶工、墨出し工、型枠大工、解体工、はつり工、築炉工、エレベーター工、サッシ工、シャッター工、電気保安工、現場監督

5 会社に対する損害賠償請求による救済

国からの給付金とは別に損害賠償請求の訴を提起することによって、建材メーカーからも損害賠償金を受領することが可能な場合があります。
この場合の要件は次のとおりとなります。

(1) 概ね1975(昭和50)年頃以降、一定の屋内作業場で行なわれた建設業務に従事していたこと(一人親方・中小事業主等を含む。)
(2) そのために、石綿肺、中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水など石綿関連疾患を発症したこと
(3) 労災認定、じん肺管理区分決定(管理2~4)または、石綿健康被害救済法認定を受けること

6 まとめ

アスベスト被災労働者やそのご遺族に対しましては、様々な救済方法があります。
アスベスト被害は現在も発生しており、アスベスト被災労働者やそのご遺族の中には対処方法をどのようにしたらよいかを悩む方もいらっしゃるものと思います。
当事務所は20年以上にわたり、静岡県内で発生したアスベスト被害について、その救済に従事してきました。
相談料は無料ですので、お気軽にご相談いただけると幸いです。
なお、訴訟資料や申請資料の収集のアドバイスもしていますので、ご安心下さい。

検索

無料相談会予約

お気軽にお問合わせください

0120-331-348

〈 予約受付 〉

(常設法律相談 / 平日) 9:00-17:30
(夜間法律相談 / 平日) 18:00-20:00
(土日法律相談 / 土日) 10:00-16:00

無料相談会予約

事務所概要・アクセス

弁護士法人
鷹匠法律事務所

〒420-0839
静岡県静岡市葵区鷹匠1丁目5-1

0120-331-348

〈 予約受付 〉

(常設法律相談 / 平日) 9:00-17:30
(夜間法律相談 / 平日) 18:00-20:00
(土日法律相談 / 土日) 10:00-16:00