アスベスト被害に詳しい当事務所の弁護士が解説します!
はじめに
この20数年以来,当事務所の弁護士は静岡県内で発生するアスベスト被害について,被災労働者とそのご遺族のために救済活動に力を尽くし,県内のほぼすべてのアスベスト被害を解決してきました。
アスベストの使用が禁止されたにもかかわらず未だアスベスト被害は発生し続け,終息時期を見通すことのできないのが現状です。
そこで当事務所の弁護士がアスベスト被害について解説致します。
アスベストとは何か
アスベストは,火山活動で火成岩の一種である超塩基性岩の地殻内マグマの裂け目に水が浸入し,非常に高い圧力のもとで熱水作用を受け,その裂け目に繊維状結晶が生成されたものであり,多様な物理化学的性質を有する天然の繊維状ケイ酸塩鉱物の総称です。
アスベストの種類としては白石綿(クリソタイル),茶石綿(アモサイト),青石綿(クロシドライト)等があり,これらはよく知られています。
こられのアスベストは産業用に用いられ,白石綿(クリソタイル)が全体の90%も使われ,以下は茶石綿(アモサイト), 青石綿(クロシドライト)の順に使われてきました。
この内,青石綿(クロシドライト)の毒性が最も強く,その発がん性は白石綿(クリソタイル)の500倍もあるといわれています。
アスベストの特性
アスベストは優れた物的性質を有しており,奇跡の鉱物ともいわれています。
そのため産業用製品として非常に多くの所に使用されてきました。
アスベストの性質としては次のようなものがあります。
(1)しなやかで,糸や布に織ることができる。
(2)引っ張りに強い
(3)摩擦,摩耗に強い。
(4)燃えないで高温に耐えることができる。
(5)熱や音を遮断することができる。
(6)薬品に強い。
(7)電気を通しにくい。
(8)細菌,湿気に強い
(9)他の物質との密着性に優れている。
(10)安価である。
アスベストの用途
日本国内にもアスベストはありましたが,量は少なく,ほとんど以前のソ連(現在のロシア等),南アフリカ等から輸入され,多方面の用途に使用されてきました。
主には次のものに使用されてきました。
(1)石綿紡織品(船舶の保温材,自動車の摩擦材)
(2)石綿含有建材(波板スレート,住宅用屋根スレート,ボード類(サイディング,フレシキル板,平板),石綿セメント円筒(石綿パイプ)
(3)シール材(グランドパッキン,ガスケット)
(4)石綿板(ディスクロール)
(5)石綿紙(電線被膜)
(6)摩擦材(ブレーキライニング,クラッチフェーリング)
(7)保温材
(8)吹付け石綿
(9)石綿タイル
日本の石綿消費量の内,約90%が建材に使われ,このことが建設作業従事者にアスベスト被害が多発する原因となっています。
アスベスト関連疾患
アスベストの身体への吸引によって,発生する病気には次のようなものがあります。
(1)アスベスト(石綿)肺
アスベストのばく露によって発症するじん肺です。
病理組織学的には細気管支周辺から始まるびまん性間質性肺炎であり,アスベストばく露歴があること,胸部レントゲンで下肺野を中心にした不整形陰影が認められること,他の類似疾患やアスベスト以外の原因物質による疾患を除外して診断することになっています。
又アスベスト肺はある程度以上の高濃度の量を吸わなければ発生しないとされています。
(2)原発性肺がん
原発性の肺がんは気管支あるいは肺胞を覆う上皮に発生する悪性の腫瘍です。
当初はアスベスト肺に合併した肺がんであり,肺の線維化が重要であると考えられてきましたが,現在ではアスベスト肺を合併しない肺がんの存在もよく知られています。
アスベストの吸引自体が肺がんの発生に重要であると考えられ,臨床的にはせき,たん,血たんといった症状がみられます。
アスベストのばく露量が多いほど肺がんになる危険性が高くなるとされています。
(3)中皮腫
中皮細胞に発生する悪性の腫瘍であり,発生部位には胸膜が80%から90%と最も多く,腹膜が10%程度であるとされています。
未だ有効な治療法が見つかっておらず恐ろしい病気です。
中皮腫は少量のアスベストのばく露でも発生することがあり,アスベスト以外に原因はないといわれています。
(4)びまん性胸膜肥厚
アスベストのばく露により,肺の表面を覆う胸膜が炎症を起こして線維化し肥厚する病気です。胸膜の線維化が広まると,肺の表面が肥厚して硬くなり,膨らまなくなります。
その結果呼吸機能が低下し,病気が進行すると呼吸困難,胸痛,呼吸器感染がみられます。
比較的高濃度のアスベストばく露により発生すると考えられており,ばく露期間は3年以上の症例がほとんどです。
(5)良性石綿胸水
アスベストのばく露によって生じる非悪性の胸水を良性石綿胸水といっています。
アスベストのばく露があること,胸水が存在すること,悪性腫瘍や結核など他に胸水の原因となる弛緩がみあたらないことの3要件が必要となっています。
まとめ
職業上のアスベスト被害に対して国は労災保険金の支給以外に様々な救済制度を用意しています。
アスベスト問題に精通している当事務所はあらゆる種類のアスベスト被害に対処できます。
医学的に疑問のある場合はアスベスト疾患に詳しい医師と協力し,その症状を究明する体制も整備されています。
アスベスト被害にあわれた被災労働者やご遺族の方は安心して,当事務所にご相談ください。
相談料,調査料,着手金はいただいておりませんのでお気軽にご来所下さい。