工場型のアスベスト被害で国と訴訟上の和解(2021年11月18日解決)

Aさん(女性,75才,元石綿管製造会社従業員)は,50数年前,静岡県内東部の石綿管製造会社に勤務し,結婚するまでの5年間働き,その際,石綿を身体内に吸入したものです。

 その後,主婦業をし,長年元気に生活してきましたが,平成31年になって突然体調を崩し,令和1年に腹膜中皮腫で死亡したものです。

 その後,ご遺族の依頼を受け,当事務所で労災申請をし,静岡地方裁判所に国を被告として,損害賠償請求の訴を提起したものです。

 Aさんの勤務した会社は,石綿被害者を多発させているため,国はすぐに和解協議に入り,ご遺族に慰謝料として1430万円を支払うということで,2021年11月18日,和解が成立したものです。

 工場型アスベスト被害者とそのご遺族に対しましては,被害者等が,国を被告として,静岡地方裁判所に訴訟を提起することにより,和解に移行し,国が慰謝料を支払うことでアスベスト被害者の救済を図っています。

 建設アスベスト被害者の救済とは異なり,工場型アスベスト被害者に対する国の責任期間は,昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までと限定されていますが,現在でも,この期間に働いていた方々のアスベスト被害は多発しており,遠い昔のことではありません。

 明らかに石綿工場と思われる職場で働いていた方々が,この被害救済の対象になることは勿論ですが,石綿工場ではなく,単なる工場内で石綿を取り扱っていた方々も対象になります。

 又,工場といえるような規模のものではなく,作業小屋での就労や,船舶内の密閉された所で就労し,アスベストを身体内に吸入していた方も,工場型アスベスト被害の対象になりますので,当事務所に連絡をいただければ,対象になるかどうかを検討致します。